お香の老舗、薫玉堂のお香、北山のバラ。
薔薇の花だけでなく、葉や茎の香などの青さも感じる、オリジナリティのある薔薇の香り。
公式には、”ビロードのような花びらに朝露を抱き、あでやかに咲きこぼれる北山のバラ庭園。
甘く美麗な花の香りと活き活きとした葉や茎の薫りに酔いしれます。” の説明区。
薔薇のフレグランスは元々得意ではない。
芳香剤臭くてきつく感じるからだ。
と思っていたが、お香の薔薇はなんだか悪くないな、なんて最近思い始めていた。
なので、この北山のバラにも期待を込める。
火を付けてみると、薔薇の香りが漂ってきた。
良い香りだ、良い香りなのだが、ただの薔薇の香りではない、なんだか複雑だ。
花の甘々しさはなく、若い果物のような酸味にも似た香りが、薔薇の香りと凄い複雑に絡んでいる気がする。
一見何を模したのかわからなかったので、公式の説明区を確認したところ、葉や茎の香りとあった。
確かに、葉や茎の青さ、植物のちょっとした酸味といわれたら、そうだ。
全体として、なんというか、少しノスタルジーで野生の青さを感じる薔薇、といったところだろうか。
これは面白い、こんなにオリジナリティのある薔薇フレグランスは、あまりないのではないだろうか。
気になって、北山・薔薇、などというワードで検索してみたところ、京都の北山駅近くの京都府立植物園の写真が出てきた。
この北山のバラは、ここをテーマにしたものなのだろうか。
写真を見て思ったのだが、屋外の薔薇って、ちょっとワイルドに見える。
城の庭や、花束をイメージしていたが、庭園に咲いている薔薇って、意外にもちゃんと”植物”をしている。
このお香、北山のバラを試した時、前者をイメージしていたので少し拍子抜けしたが、後者をイメージすると、不思議としっくりくる。
そして、香りと情景のイメージが一致した時、凄く良い香りに感じる。
イメージって不思議だ、これが薫玉堂さんの狙いか。
なんだかこれは、ちょっと癖になる。
普通の薔薇の香り、あるいは他のフローラル系の香りに飽きてしまった人、この唯一無二の香りを手に取ってほしい。