薫玉堂

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薫玉堂 奈良一七一六 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂の奈良一七一六。公式には、"森の中の山寺にいるような奥ゆかしい香りで、落ち着きたい時や就寝前のひと時にもおすすめです。"の説明区。火をつけると漂う、甘くて奥ゆかしい古風な寺院の香り。あ〜、奈良か、なるほどね。これは、奈良っぽい。そうか、確かに奥ゆかしい。まず、甘い香りがいる。ただの白檀ではなく、白檀以外の甘さもある。アニスなのか、アンバーなのか、安息香なのか…バルサミックでバニラのような、こっくり感がある。土台に、ほんの少しスパイシーなウッディーがいるので、甘すぎることはない。そして、全体として、渋い。いや、古風といったほうが良いだろうか。おばあちゃんちやお寺を連想する。とにかく依然、和を貫いている。同じ白檀系の和のお香でも、例えば堀川なんかは上品な印象だが、こちらは良い意味で古風で奥ゆかしいのだ。この奈良一七一六を薫いた後の部屋に入ったら「あれ?お寺?おばあちゃんち?」って感じる人はいるのではないだろうか。故、個人的には、服などに薫きしめるにはちょっと渋すぎると感じる。だが、香り自体は日本人に染みついた何かを感じる。懐かしさを感じる、なかなか癖になる。秋に薫きたくな...
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薫玉堂 宇治の抹茶 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂さんの、宇治の抹茶。公式には、"茶樹が織りなす縞模様が山の端まで続く、宇治の茶畑の美しさ。あわただしい日常にひと息つける、抹茶のふくいくたる深い薫りです。"の説明区。苦味や茶畑の葉っぱ感も感じるような、日本人の心に訴えかけてくる大人の抹茶。日本人にとって馴染みの多い、抹茶。現代人は、抹茶ラテや抹茶チョコのように、抹茶に甘味をつけたがる。さて、この薫玉堂の宇治の抹茶の香は、どんな味がするだろうか。火を付けてみると、苦味のある大人な抹茶の香りが漂った。そうだ、本来抹茶ってこんな感じだ。たてたばかりのお茶のような、ちゃんとした苦味のある、甘くない抹茶だ。そして、立てたばかりのお茶かと思いきや、少しだが葉っぱっぽさも感じる。なるほど、和室で立てるお茶ではなく、茶畑をイメージしたお香というのも頷ける。結構大人の抹茶だ。子供がいたら「苦い!」と言われそうだ。だが、普段コーヒーやお茶を飲んでいる私は、これは嫌いになれない。甘いお香の合間に薫いたりと、箸休めに良さそうだ。自宅に和室や縁側があったら、晴れた爽やかな日の午後にでも薫きたい。甘くないお香を探している方、大人な抹茶を楽しみた...
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薫玉堂 音羽の滝 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂さんのお香、音羽の滝。公式には、"清水さんの滝つぼに流れ落ちる東山三十六峰に連なる音羽山の湧水。千年以上もとぎれることのない、清らかで涼やかな流れを連想させる薫り。" の説明区。京都の清水寺にある音羽の滝をイメージした、シリーズの中でも人気のお香。トラディショナルの中に、爽やかさや華やかさを感じる香り。薫玉堂というと、音羽の滝というイメージがあるくらい、薫玉堂の中では有名なお香だ。なので、外れる心配はしていないが、どんな香りかはある程度知っておきたい。そう思い、口コミを漁るのだが、"爽やか" というワード以外、いまいちそれっぽいワードが出てこない。とりあえず、薫いてみるのが早そうだ。火を付けると漂う、トラディショナルですっきりしていて、それでいてしっかりした香り。あぁ、良い、くどくなく、爽やかさももっていて、ほんのり甘みや華やかさもある、日本人受けする香りだ。そして確かに、これは言葉にしにくい。軒並み抽象的なレビューばかりなのも頷ける。まず、ベースになっているのは、薫玉堂さんの他のお香と同じ、薫玉堂さんらしい芯のあるお香感や華やかさだ。モダンさもあるが、トラディショナ...
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薫玉堂 三室戸の蓮 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂の、三室戸の蓮。公式には、"静かな夏の朝、風に誘われ音をたてるように咲く優美な蓮の花。天に向け開いた掌に抱かれるような、穏やかで清廉な薫りです。" の説明区。蓮の爽やかさや瑞々しさを、お香ならではのあたたかさでまとめた、薫玉堂らしい花のお香。蓮の香りを直接嗅いだことはないが、先日試した蓮のお香がとても気に入った。こちらも蓮のお香ということで、期待が膨らむ。火を付けてみると、漂うほんのり甘い花の香り。ベースになっているのはもちろん、薫玉堂さんらしいお香感のある甘く華やかな花の香りだ。そこにちゃんと、蓮の瑞々しいさや透明感を感じる。蓮の花は直接は嗅いだことがないが、先日試したXiang Doのロータスと、ちゃんと共通点がある。「あぁ、蓮っていうのはこういう香りなのね」と納得した。ここはあえて、趣向の全く違うXiang Doのロータスと比較してみる。Xiang Doのロータスは、蓮の香りの瑞々しさや透明感をピュアに表現した感じで、お香感はあまり感じない。対してこちらは、蓮の香り特有のの瑞々しさや透明感はあるが、お香特有のまったり感的なものがある。対比でいうと、ストレートティ...
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薫玉堂 松尾の苔 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂のお香、松尾の苔。公式には、"一粒の雨の雫さえも深い緑に染める静寂の庭。ビロードの絨毯を思わせる、滑らかな苔の湿った温かい土の薫りです。" の説明区。湿った苔や土を、少しグリーンでウッディーにまとめた、和を感じさせるお香。苔の香りを使用した香水なら使っていたことがあるが、苔の香りのお香ははじめだ。使っていた香水は、他の香料も複雑に調合されていて、苔の感じは正直あまりわからなかった。苔のお香、それは良い香りなのか…?早速取り出してみる。薫く前の香りは意外にも、沈香のようなスパイシーさを感じる。もしかしたら、スパイス系なのだろうか?ウッド系なのだろうか…?恐る恐る火を付けてみると… 大地や自然を感じさせる香りが漂う。お茶のようなシダーウッドのような香りもして、日本人的な香りの構造で、思ったよりも親しみやすい。そして、奥に湿った苔や土のような香りがする。なるほど、これが苔の香りか。苔の香りをしっかりと嗅いだことはないが、何故かわかる、苔だ。少し生々しい自然の苔を感じる。香水系のフレグランスの苔=モスの香料は、色々な香料の中の一つとしてニュアンスを作っている程度なのに対し、こ...
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薫玉堂 大原のコスモス のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂の、大原のコスモス。公式には、"大原の和らいだ太陽の光を存分に浴びて、風に揺れるコスモス。澄んだ秋空の下、野原いっぱいに淡く甘い薫りが広がります。"の説明区。秋口に感じる切なさにも似た、淡くてほんのり甘酸っぱい花の香り。コスモス、日本名で秋桜。コスモスの開花時期は結構長く、秋以外にも咲いているのを見かけたことがある。たまに見かけては、つんできて花瓶に刺すのだが、特段香りを感じたことはない。春に咲く桜の花も、実際の花からはほとんど香りがしない。よって、桜フレグランスは、桜をイメージして作られたものか、あるいは桜餅やチェリーの香りを再現したようなものが多い。コスモスの香りもおそらくそれと同様、生の花を再現したものではなくイメージによるところが大きそうだ。薫玉堂の醍醐の桜は試したことがあるが、とても良い香りで、まさに桜を想わせるものだった。はたして、こちらはどうだろうか。火を付けてみると、漂う淡くてほんのり甘酸っぱい花の香り。あぁ、これは良い香りだ。花の甘さはあるが、ほんのり甘酸っぱさがあり、それが秋口の切なさを感じさせる。ベースになっているのは、いわゆる癖のない花のお香で...
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薫玉堂 横浜一八七二 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂の、横浜一八七二。公式には、"異国情緒あふれる港町のノスタルジックで清々しい薫り。"の説明区。墨汁のような、レザーのような、動物のような… 独特な異国の香り。薫玉堂さんのお香は、オリジナリティのある花の香りか、地名と年代をイメージしたものか、どちらかが多い。花の香りは大体どれも好みで、フローラル系があまり得意ではなかった私が、買い集めようとしているくらい、良い香りだった。さて、知名の方はまだあまり手付かずの中、この横浜一八七二はどうだろうか。早速火を付けてみると…嗅いだことのない、独特の香りが漂った。ファーストインプレッションは「ジンギスカンだ!」。な、何だろう… この香りは…嗅いだことのない系統で、戸惑う。墨汁やレザーがいる気がするが、それよりも強く感じたのは、動物感。ラム肉だ、ジンギスカンの臭いだ。そんなわけあるか?と思い、もう一度試したが、私の鼻にはどうしてもジンギスカンに感じる。匂いの解釈は人それぞれだが、私にはそう感じた。"異国情緒溢れる" というのは、ジンギスカンなのか…?申し訳ないが、私にはダメな香りだった。そもそも私は、墨汁やレザーのフレグランスの良さ...
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薫玉堂 花園の紗羅 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂さんのお香、花園の紗羅。公式には、"朝に咲き夕べに落ちる、その儚さを愛でる沙羅。風に消える花色のたおやかで清純な薫りです。"の説明区。どこか甘酸っぱさを感じるような、甘くて清純さのある花の香り。薫玉堂さんのせいで、苦手だった花のお香にハマりだしている。薫玉堂さんの花のお香はどれも凄く素敵で、この花園の紗羅にも期待が高まる。火をつけると、はじめは少し線香感があったが、それはすぐに消えて、甘い花の香りが漂った。なんて、素直な花の香りなんだ。紗羅の花の香りは生では嗅いだことはないが、これは良い香りだ。そして、薫玉堂さんの花のお香は、パウダリーだったり葉のニュアンスがあったりで、良い意味でオリジナリティがあるが、これはわりと素直に、"花"だ。花の香りはどれも甘いと表現されることが多いが、この花の甘さは、"素直"だ。パウダリーな甘さや、砂糖菓子のような甘さとは違う、花の甘さのイメージに一致する甘さだ。甘さ自体くどくはないが、花としては甘い花の部類に入るだろう。そして、奥の方に、甘酸っぱさのようなものが。フルーツっぽいわけではないが、甘酸っぱさを微かにだが感じる。総じて、確かに"...
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薫玉堂 北山のバラ のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂のお香、北山のバラ。薔薇の花だけでなく、葉や茎の香などの青さも感じる、オリジナリティのある薔薇の香り。公式には、"ビロードのような花びらに朝露を抱き、あでやかに咲きこぼれる北山のバラ庭園。甘く美麗な花の香りと活き活きとした葉や茎の薫りに酔いしれます。" の説明区。薔薇のフレグランスは元々得意ではない。芳香剤臭くてきつく感じるからだ。と思っていたが、お香の薔薇はなんだか悪くないな、なんて最近思い始めていた。なので、この北山のバラにも期待を込める。火を付けてみると、薔薇の香りが漂ってきた。良い香りだ、良い香りなのだが、ただの薔薇の香りではない、なんだか複雑だ。花の甘々しさはなく、若い果物のような酸味にも似た香りが、薔薇の香りと凄い複雑に絡んでいる気がする。一見何を模したのかわからなかったので、公式の説明区を確認したところ、葉や茎の香りとあった。確かに、葉や茎の青さ、植物のちょっとした酸味といわれたら、そうだ。全体として、なんというか、少しノスタルジーで野生の青さを感じる薔薇、といったところだろうか。これは面白い、こんなにオリジナリティのある薔薇フレグランスは、あまりないの...
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薫玉堂 醍醐の桜 のお香レビュー

お香の老舗、薫玉堂の「醍醐の桜」。少しパウダリーで甘やかな桜の香り、数ある桜のお香の中でもとても上品な仕上がり。公式には、”桜並木の中を歩くと空から舞い降るはなびらに包まれるよう。幾本も連なる桜が順々に開いて、瑞々しくも魅惑的な醍醐の花見の薫りです。”の説明区。